カタカタ、カタカタ。
タイピングの音が響く社内。
1人、また1人と帰っていき、気づけば私だけが残っていました。
書類とパソコンを目で追いながら、手を動かし続けていると・・
足音がします。
「え?」
思わず顔を上げて、そちらを見ると、
うちのビルの警備員さんが恐る恐る近づいてきていました。
「まだ残っているんですか?」
そう声をかけられ、思わず笑ってしまいました。
すみません、お仕事なのは分かっているのですが・・正直、ちょっと怖いっす。
気づけば、今日も残業していた
気づけば、また定時を過ぎていました。
時計を見るたびに「あと少しだけ」「ここまで終わらせないと・・」と自分に言い聞かせて、同僚からの「お先に失礼します」という声に返事をしているうちに、気づけばオフィスに自分ひとりだけ。
これが何度目かは、もう覚えていません。
「自分がやらなきゃ終わらない」
そういう瞬間って、誰にでもありますよね。
管理職だけでなく、入社まもない社員でも、自分の仕事を終わらせないと帰れないことはあります。仕事ですから。
とはいえ、同僚が帰っていく背中を見送りながら、なんだかぶわっ、と焦りが込み上げてくることもあります。
「早く帰りたい」という気持ちも強くなりますね。
残業は、やっぱり楽しいものではありません。
特に管理職だと、お金にもならないですし。(残業代ないんです・・)
仕事を効率化したいと思って工夫しても、結局はタスクが増えていきます。
次から次に案件が押し寄せ、メールは深夜にも届くし。
つまり、終わりがない。
自分の仕事だけで完結するなら、すぐにでも手を止められるんです。
でも、誰かの仕事につながっていると思うと、どうしても止まれません。
そして一番厄介なのは、仕事を終えて帰っても、頭の中がまだ職場にいることです。
お風呂に入りながらも、寝る直前まで、思考が仕事から離れない。
「あの書類は書いたっけ?」「この案件の締め切りは確か・・」
まるで、残業時間が身体から抜けていかないような感覚です。
リセットしないと、疲れがとれない。
そんな状態が続いてしまうんですよね。
本当・・・わたしは仕事とプライベートの切り替えが下手なんです。

頑張る人ほど、残業は増える
残業をしていると、ふと気づくことがあります。
「頑張っても、なぜか仕事が減らない」そんな矛盾みたいな感覚です。
タスクを減らすために効率化したはずが、気づけば次の案件が追加されている。
一人が少しでもスピードを上げると、周囲もそのスピードを前提にしてしまうんです。
結果として、残業は減らないどころか、むしろ当たり前のサイクルとして定着していくんですよね。ベストを尽くすとベストが当たり前になる、という感じです。
無茶な話ですね笑
この構造は、ある意味で仕方がないのかもしれません。
組織は常に「もっとできる」を求めるし、人もまた「期待に応えたい」と思ってしまう。
その積み重ねが、気づけば「無理をしている状態」を普通にしてしまうんです。
さらに厄介なのは、「頑張る人ほど仕事が集まる」ということ。
頼みやすい、安心できる、結果が早い。
そう思われる人ほど、次々と依頼が回ってきます。便利屋の誕生です。
もちろん、それは信頼の証ではありますが。
「もう少し余裕を持ちたい」と思っても、スケジュールはギチギチに組み込まれてます。
だから、残業するしかない。
こう考えると、残業は個人の選択ではなく、仕組みの副産物のように感じますね。
それでも、「残業が悪い」と単純に切り捨てる気にはなれません。
割り切ると、あの静かな夜の時間にこそ、落ち着いて考えられることもあるし。
一人で向き合うからこそ気づく、細かな課題もあります。
残業はたしかにしんどい。
でも、誰も悪者ではない。
問題なのは、人の優しさや責任感が、いつの間にか仕組みに吸い込まれてしまうことなんですよね。
明日の自分を守るために
残業をやめよう、と思っても、すぐにはうまくいきません。
大企業には「ノー残業デー」とか色々用意はあるようですが・・
長い間やってきた習慣は、意識だけでは変えられないものです。
私も何度も「今日は早く帰ろう」と決めては、気づけばまた同じ時間にタイピングしていました。
社畜ですね、本当笑
どうやって抜け出すのがいいか。
まずは、「全部やろう」としないこと。
完璧を目指すほど、仕事は終わらなくなります。
「ここまででいいか」と線を引くことが大切です。
次に、「用事を作ること」です。
さっきも書きましたが、意思の力で残業しないというのは難しいです。
なので、仕事終わりに予定を作ることをおすすめします。
「今日、友達とごはんに行く約束があるんですよね」
そんな話を同僚としておくと、「すいません、今日はこれで失礼します」という流れにつなげやすいです。
案外、家に帰って自分の時間と残業の仕事をトレードオフしているところってないですか?
自分の時間は100%自分の裁量で決めれますが、人との約束だとそうはいきません。
予定を作るというより、自分が帰る理由を先に作っておくという感覚ですかね。
それだけで、残業への考え方も変わります。

残業を減らすことは、仕事の手を抜くことではありません。
つい、同僚や誰かのために・・と自分を犠牲にしてみたり、「これは自分の仕事だから」と責任感を発揮してみることもありますが。
やる気が出ない日があってもいいし、誰かの期待にすぐ応えられなくてもいいと思います。
正直なところ、この仕事を明日に回したところで世界は何の問題もなく回ります。
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