「原則出社に戻します」
最近、大手企業からそんな発表が続いていますね。
海外でも出社回帰の流れは広がっていますし、日本でもこの傾向はしばらく続くのでしょう。
では、リモートワークという働き方は、これからビジネスの場から消えてしまうのでしょうか。
わたしは、減りはしても消えないと思っています。
フルリモートでしか働けない人もいますし、リモートワークという働き方を制度として持っている会社もあります。
採用でも、「リモートワーク可」という一文は、柔軟な会社という印象につながります。
特に子育て世代には大きな魅力でしょう。
実際、育児休業から復帰した社員が、しばらくは出社とリモートワークを併用するケースはよくあります。
弊社でも取り入れていますが、この制度は社員から非常に好評です。
だからこそ、「明日から廃止します」なんてことになれば、反発が起きるでしょう。
リモートワークには、それだけの価値があります。
しかし最近、わたし自身はフルリモートには否定的になっています。
理由は、とてもシンプルです。
レスポンスが遅くなることがあるからです。
見えないから、余計に気になる
先日のことです。
その日はリモートワークをしている社員と、チャットツールでやり取りをしていました。
緊急の対応だったので、
「急いで確認したいんですけど」
と送ったのですが、返信がなかなか返ってきません。
他の作業をしているのか。
電話中なのか。
オンラインミーティングなのか。
こちらからは何も分かりません。
結局、電話をかけると、
「すみません、対応が遅れました」
とのことでした。
その社員が仕事をしていなかった、とは思っていません。
集中して資料を作っていたのかもしれないし、別件の対応中だったのかもしれません。
ただ、それが見えない。
「見えない」というだけで、不信感が生まれてしまうことがあります。
勤務中なのだろうか、と考えてしまう
リモートワークをしていると、
「この人は今、本当に勤務中なんだろうか」
と思ってしまうことがあります。
レスポンスが遅い。
電話もなかなかつながらない。
すると、つい想像してしまうのです。
始業時間ぎりぎりまで洗い物をしていたのかな。
洗濯機を回しながら仕事をしているのかな。
宅配便を受け取っているのかな。
作業中はYouTubeでも流しているのかな、と。
個人的には、それ自体を悪いことだとは思っていません。
成果が出ていて、約束した時間にきちんと対応できるのであれば、家事をしようが、音楽を流そうが、それは働き方の自由だと思っています。
問題なのは、その働き方が相手に負担をかけてしまうことです。
急ぎの確認が止まる。
緊急案件なのに返事が来ない。
そういうことが何度か続くと、
「今、本当に仕事をしているのかな」
という疑いではなく、
「この人に急ぎの仕事を任せても大丈夫だろうか」
という不安に変わっていきます。
リモートワークで失われやすいのは、時間ではありません。
信頼なのだと思います。
自分も同じように見られているかもしれない
ただ、この話は相手だけの問題ではありません。
わたし自身も、
「リモートワークの日は返信が遅い」
と思われているかもしれません。
それは不本意ですし、相手にも迷惑をかけてしまいます。
だからこそ、自分自身への戒めでもあります。
制度よりも、ルールが必要
この問題は、リモートワークを導入している会社なら、多くが悩んでいる部分ではないでしょうか。
わたしは解決策として、予定の共有を大切にしています。
何時からミーティング。
何時から外勤。
その時間帯は返信が遅れます。
そうした予定を関係者へ共有し、緊急時は電話をもらうようにしています。
本当は全員が見られるホワイトボードのような仕組みがあると便利なのですが、弊社ではまだ導入していません。
出社していても、会議中や外出中は同じです。
だから、リモートワークだけ特別扱いする必要はありません。
重要なのは、「相手が今どんな状況なのか」を周囲が分かる状態をつくることです。
問われているのは働く場所ではない
リモートワークそのものが悪いわけではありません。
むしろ、採用や育児支援の面では大きなメリットがあります。
問題なのは、制度ではなく運用です。
ルールが曖昧なままでは、不公平感も、レスポンスの遅れも、少しずつ信頼が失われていきます。
それはもったいないですよね。
ひとりひとりが自由に働ける環境は魅力的です。
しかし、その自由が「お互いの信頼」の上に成り立っていることを忘れてはいけません。
そして、その信頼を支えるルールを整備すること。
それが、総務や管理部門に求められている役割です。

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