ある月のことです。
いつも通り給料計算をしていて、ふと手が止まりました。
「あれ?」
自分よりも、後輩のほうが支給額が多かったのです。
理由はすぐにわかりました。
彼女はその月、かなりの残業をしていましたし、制度としても何もおかしくはありません。
管理職であるわたしは固定給。
一般社員である彼女には、残業代がつく。
頭では理解できます。
それでも、モヤっとしたのは事実です。
責任の重さや、判断の量。
日々抱えているものを思い返したときに、
この差は一体なんなのだろう、と。
そういえば、最近ニュースで見かけた話がありました。
昇進を断る人が増えている、というものです。
「ああ、断る理由はこれかもしれない」と。
なぜ給与の逆転が起きるのか
まず、今回のケースを整理してみます。
管理職であるわたしは固定給。
時間ではなく、役割や責任に対して報酬が支払われています。
一方で、一般社員には残業代があります。
働いた時間に応じて、報酬が積み上がっていく仕組みです。
そのため、繁忙期や業務量が増えた月には、
残業の多い社員のほうが支給額が上回ることもあります。
制度としては、とてもシンプルで公正です。
働いた分だけ報われる、という意味では、むしろわかりやすい仕組みとも言えます。
「管理職なのに、給料が低い。」
違和感がありますよね。
というか、正直に言えば、少し悲しいです。
でもこれは仕方ない部分もあります。
それは、評価の軸が違うからです。
一般社員は、時間で評価されます。
どれだけ働いたか、というわかりやすい指標です。
一方で、管理職は違います。
求められるのは、判断や責任、そして結果。
時間ではなく、
どのように意思決定をし、どのような状態をつくったか。
そもそも、「給与」という基準で比べている時点で、ズレているのかもしれません。
理解と納得は、別の話だ
評価が違うから。
まぁ、そうなんですけど。
目に見えるのは、あくまで「給与」という数字です。
そして、その数字はとてもわかりやすい。
だからこそ、比べてしまう。
そして、うまく飲み込めないまま残る。
もちろん、誰かと競っているわけではありません。
後輩とはそもそも部署も仕事内容も違います。
連日残業していたのだから、
多くもらっていること自体に、不満があるわけでもありません。
それでも、自分が背負っているものを考えたときに、
その差に対して、少しだけ複雑な気持ちになるんですよね。
この感情は、おそらく特別なものではないと思います。
むしろ、自然な反応なのではないでしょうか。
人はどうしても、見えるもので判断します。
時間やお金のように、数値で表せるものは特にそうです。
一方で、判断や責任といったものは、見えにくい。
だからこそ、その価値が実感しづらいのかもしれません。

昇進を断る理由は、ここにある
こういう違和感が積み重なっていくと、
ひとつの考えに行き着きます。
「昇進しない」という選択です。
まぁ、よくわかりますよ。
管理職になれば、責任は確実に増えます。
判断する場面も増え、背負うものも大きくなる。
一方で、時間の自由度は下がり、
場合によっては、一般社員と給与が逆転することもある。
それなら、どうするか。
無理に昇進する必要はない。
今の立場のまま、時間で評価される働き方を選ぶ。
そう考えるのは、ごく自然なことだと思います。
もちろん、会社としては困るかもしれません。
管理職を担う人がいなければ、組織は回らないからです。
それでも、個人の視点で見れば、
その判断は合理的です。
責任は増える。
負担も増える。
それに見合う実感が得られない。
そう感じたときに、
昇進を断るという選択が生まれるのは、無理もありません。
あのニュースで見た「昇進を断る人が増えている」という話は、
特別なものではなく、
こうした小さな違和感の積み重ねが、
表に出てきた結果なのかもしれません。

管理職のメリットは?
では、管理職にメリットはないのでしょうか。
そんなことはありません。
たとえば、業績に応じた賞与は、
一般社員よりも高い倍率で設定されることが多い。
また、名刺の肩書が、
外部とやり取りをする際に役に立つ場面もあります。
明らかに、対応が変わる人もいますね。
さらに、転職を考えたとき、
ある程度の年齢になると、
役職の有無は一つの判断材料になります。
例えば、20代から役職を持ち、順調に昇進していた人は、その会社から評価され続けていた人材である、と履歴書から判断できますね。
逆に、10年、20年と在職していて、平社員のままだと。
昇進しなかった、できなかった理由を勘ぐってしまいます。
つまり、管理職には管理職なりの価値があります。
ただしそれは、毎月の給与のように、
わかりやすく実感できるものばかりではありません。
だからこそ、迷うのだと思います。
目に見えるものを取るのか。
それとも、見えにくい価値を積み上げるのか。
選べるとしたら、あなたは管理職になりたいですか?

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