生成AIについて学んでいると、「便利」という言葉をよく目にします。
確かに、その通りです。
文章をまとめたり、アイデアを整理したり、資料のたたき台を作ったり。
「便利な道具」なのは間違いありません。
仕事の効率は確かに上がりますから。
しかし、「経理」という仕事に携わっていると、「便利だから使おう」と簡単には割り切れない部分があります。
・自分がよく理解できていないもの。
・新しすぎて、まだ十分な検証データがないもの。
・そして、インターネットにつながっているもの。
こういう要素がある新技術を、経理は嫌います笑
なぜなら、経理部門が扱っているのは、会社の財務データだけではないからです。
給与情報や住所、マイナンバーなどの個人情報、さらには取引先との契約内容など、外部に漏れてはいけない情報ばかりなんですよ。
だからこそ、新しい技術に慎重になるのは当然なんですよね。
しかし、会計事務所もAIを導入し、フル活用する時代です。
あまり距離をとってばかりもいられないな、と手に取ってみたのが、『生成AI×経理・会計 実務入門』という本でした。
単なる「AIの使い方」の本は書店に溢れているので、実務に直結した本を探していました。
経理担当者がAIとどう付き合うべきなのか。
安全に使うためには何を考えるべきなのか。
今回はその中から、特に印象に残った「経理とAIの付き合い方」について、実際に管理部門で働く立場から考えてみたいと思います。
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AIは敵ではなく、「部下」という考え方
本書で印象的だったのは、経理部門が生成AIに慎重になる理由をきちんと理解したうえで、「どう付き合うか」を解説していることです。
「危ないから使わない。」
「リスクがあるから距離を置く。」
そうした考え方になりがちな背景を認めつつ、著者は「忙しすぎて、AIをどう活用すればいいかわからない」という現場の事情にも寄り添っています。
そして、最も印象に残ったのが、
AIは暗記するものではなく、使うもの。
という考え方でした。
電卓やExcelの関数を覚えることが目的ではなく、それらを使って仕事を効率化するように、生成AIもまた仕事を助けるための道具です。
さらに著者は、AIを「下書きやたたき台を作る部下」と表現しています。
最終的な判断や確認は、人が行う。
「AIに仕事を任せる」のではなく、「AIと仕事を進める」という感覚ですね。
明確な役割分担です。
この2つは重要な違いですね。
会社の規模に合わせた活用方法も参考になる
本書では、会社の規模ごとにAIの活用方法も紹介されています。
弊社のような内製化された中小企業では、まさに「アシスタント」としてAIを活用しています。
文章の下書き、議事録の整理、情報収集、アイデア出し。
まずAIにたたき台を作ってもらい、それを人が仕上げる。
この使い方は、日々の業務でも非常に実感しています。
他社の業務フローを知るだけでも価値がある
個人的に嬉しかったのは、実際の経理業務サイクルが紹介されていることでした。
ひとり経理やひとり管理部門では、自分の会社のやり方しか知らないことが少なくありません。
「他社ではどんな資料を作っているのか。」
「どんな流れで仕事を進めているのか。」
こうした情報に触れる機会は意外と少ないんですよ。
監査を担当する公認会計士や、多くの企業を訪問する税理士は、さまざまな会社の業務フローを見ています。
その知見を共有してもらえるだけでも、本書を読む価値は十分にあると感じました。
AIを安全に使うための4つの考え方
本書では、生成AIを安全に活用するための考え方も整理されています。
印象的だったのは、どれも「AIを禁止するため」のルールではなく、「安全に活用するため」の考え方だったことです。
例えば、私物のスマートフォンや個人アカウントを業務に利用しないこと。
生成AIを利用する際には、学習に利用されない設定(オプトアウト)を確認すること。
また、規定で縛りすぎると、現場ではAIが使われなくなってしまいます。
だからこそ、活用を前提としたルール作りが重要であり、利便性と安全性のバランスを取ることが大切だと述べられています。
この考え方はとても素晴らしいですね。
「危ないから使わない」のではなく、「危ない部分を理解したうえで、安全に使う」。
これは生成AIに限らず、新しい技術すべてに共通する姿勢ではないでしょうか。
少人数の管理部門こそ、AIを味方にしたい
管理部門では、経理だけでなく、総務や労務、ITなど、幅広い仕事を少数、場合によっては一人で抱えることが珍しくありません。
時間には限りがあります。
そこで、AIには下書きや情報整理を任せ、人は判断や確認といった本来注力すべき仕事に時間を使う。
そんな役割分担が、これからますます重要になっていきます。
生成AIは、今のところ、人の代わりになる存在ではありません。
信頼できるアシスタントとして活用し、最後は自分で責任を持ってチェックする。
本書は、その付き合い方を実務目線で教えてくれる一冊でした。

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